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株価が下がっても勝てる?積立投資の驚きの力

「投資開始時点から株価が下がってしまったら勝てない」。直観的には正しいようにも思えますが、実はそうとも限りません。同じ投資環境であっても、投資の仕方によって結果は大きく異なり、株価の推移次第では最終的に半値になった場合でも利益を上げられる投資方法も存在します。今回は、2つの投資方法の成果を、2つの投資環境で比較することで、「積立投資」の意外な強さをご紹介します。


投資方法は、以下2つを想定します。

  •  一括投資:最初に100万円を一度に投資
  •    積立投資:毎年10万円ずつ、10年に分けて投資

そして、投資環境として、以下2つのシナリオを想定します。

  •  堅調シナリオ:株価100円から始まり、10年後に150円まで上昇
  •   半値シナリオ:株価100円から始まり、3年後に15円まで下落し、10年後に50円まで回復

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上記の投資方法とシナリオで4つの組み合わせが出来ますが、どのリターンが最も高いと思われますか?

  1. 一括投資 × 堅調シナリオ
  2.  一括投資 × 半値シナリオ
  3.  積立投資 × 堅調シナリオ
  4.  積立投資 × 半値シナリオ

4つの組み合わせによる最終的な総資産額は以下の通りです。()内は損益

  1. 一括投資 × 堅調シナリオ:150 万円(+50 万円)
  2. 一括投資 × 半値シナリオ:50 万円(-50 万円)
  3.  積立投資 × 堅調シナリオ:134 万円(+34 万円)
  4.  積立投資 × 半値シナリオ:167 万円(+67 万円)

まず、最もリターンが低かったのは、おそらく多くの方が予想された通り、②「一括投資×半値シナリオ」でした。価格の変化が素直にリターンに反映されています。では、最もリターンが高かったのはどの組み合わせでしょうか。これは堅調シナリオのいずれでもなく、④「積立投資×半値シナリオ」でした。最終的に価格が下がっているにもかかわらず、価格が上昇し続けたいずれの場合よりも大きなリターンが得られるというのはかなり意外な結果ではないでしょうか。


なぜこの様な結果が生じるのでしょうか。これは価格が大きく下がった局面で多くの株数を買うことができたためです。安い時期にたくさん買い、高くなったときにその価値が大きく膨らむ。積立投資が持つ「価格変動を味方につける力」が、最大限に発揮された結果と言えるでしょう。


堅調シナリオ同士を比べても、積立投資と一括投資の差はわずか16万円しかありません。これは、価格が右肩上がりで推移する中でも、積立投資が着実に資産を増やしていけることを示しています。このように、定期的に一定額を投資する「積立投資」は、価格の変動を優位に活かし、安定した資産形成を可能にする方法と言えます。


積立投資の心理的なメリットも見逃せません。投資というと、「今買うべきか」「もっと下がるのでは」といった判断に悩まされがちですが、積立投資ではそのようなタイミングの見極めが不要です。価格が下がったときには「安くたくさん買えるチャンス」と前向きに捉えることができ、逆に価格が上がったときには「資産が増えている」と安心感を得られます。相場の変動に一喜一憂せず、感情に振り回されにくいのが大きな特長です。


投資は「一攫千金」を狙うものではなく、「未来の安心」を育てるもの。積立投資は、その第一歩として最適な選択肢です。今日が、10年後の自分を変えるスタートラインかもしれません。積立投資、始めてみませんか?